古事記に出てくるのはどの辺か いつも頭に描いていました。
西東社「地図と写真から見える 古事記・日本書紀」 山本明 著 を図書館で見つけました。
西東社「地図と写真でよくわかる古事記」 山本明 著
昭文社「地図でスッと頭に入る 古事記と日本書紀」 監修 瀧音能之
三笠書房 王様文庫 「読めば読むほど面白い『古事記』75の神社と神様の物語」由良弥生 著
を参考に Googleマップにマークして 旅行に行けたら廻ってみたいと思っています。
古事記 中巻(神武天皇~応神天皇)のゆかりの地 はこちら
古事記 下巻(仁徳天皇~推古天皇)ゆかりの地 はこちら
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国生み
天地の始まり
天と地が分かれて世界が始まり、天の領域 高天原(たかまのはら)に 最初の神 天之御中主神(アメノミナカヌシ)が生まれた。
●水天宮(総本宮) 福岡県久留米市 ‥ アメノミナカヌシを主祭神として祀る。
高天原の神様たちは、男神の伊邪那岐(イザナギ)と女神の伊邪那美(イザナミ)という神様に、天沼矛(あめのぬぼこ)をあたえ、国造りをするようにと命じました。高天原から地上へとつながる天浮橋(あめのうきはし)の上に立って、矛で下界をかきまぜると、滴り落ちたしずくは、固まって「おのころ島」ができあがりました。
高天原とつながる天の御柱をたてて、日本国土となる 大八島(おおやしま)を誕生させた。最初に淡路島、四国、隠岐、九州、壱岐、対馬、佐渡 そして最後に本州が生まれた。(国生み)
●兵庫県淡路島にある 淡路國一宮 伊弉諾神宮 (いざなぎじんぐう)‥イザナギ・イザナミ の二神を祀る最古の神社です。そして古くより 鶺鴒(せきれい)は男女和合へといざなう御神鳥として崇められています。
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絵島 ‥おのころ島の候補地の一つ。
岩楠神社(いわくすじんじゃ) ‥伊邪那岐神と伊邪那美神の未熟児で生まれた水蛭子(ひるこ) が海に流されたあと漁師に拾われ、エビスという名の神様として復活。 漁業や商売繁盛の神様になった。
自凝(おのころ)神社 ‥おのころ島の候補地の一つで、沼島の中にあって、イザナギ・イザナミの二神を祀る。山全体がご神体。
友ヶ島 ‥おのころ島の候補地の一つ。
家島 ‥おのころ島の候補地の一つ。神武天皇が東征の際に立ち寄ったといわれる。
神々の誕生・イザナミの死
伊邪那岐神と伊邪那美神は 続いて海の神、風の神、山の神など 多くの神を生んでいきます。火の神 迦具土神(かぐつち)を生むとき、伊邪那美神はやけどをおってしまい 苦しみながらも鉱山の神など生みますが、火傷で 死んでしまいます。
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滋賀県犬上郡多賀町にある 多賀大社 ‥伊邪那岐が最後に住んだと伝わり、伊邪那岐と伊邪那美を祭神とする。
三重県熊野市有馬町 の花窟神社 ‥ 日本書紀の一書では伊邪那美は紀伊国 熊野の有馬に葬られたと記されている。
※火之迦具土神(ほのかぐつち) を祀る神社、静岡県浜松市の秋葉山 山頂にある 秋葉山本宮秋葉神社は火伏せの神様として信仰される。各地にある 愛宕神社 も火防の神として祀っている。
埼玉県秩父市 三峯神社:三峯山山頂にあり 祭神は伊邪那岐と伊邪那美。日本武尊銅像がある。
イザナギはイザナミを追い黄泉の国へ(出雲)
伊邪那岐は伊邪那美を出雲国と 伯耆の国の境にある比婆の山に葬った。迦具土神の首を剣で切り落とすと剣の神など次々と生まれた。伊邪那岐は 地の底にある 黄泉(よみ)の国に連れ戻しに行きました。伊邪那美は黄泉の国の物を食べてしまって 元の世界に戻れなかった。伊邪那岐は のぞいてはいけないと 言われていたが、変わり果てた妻の姿を見てしまった。
恐ろしい顔をした 黄泉醜女(よもつしこめ)と呼ばれる使い達が追いかけてきたので、髪飾りを投げると 山ブドウになり、これを食べている間に逃げるが、食べ終えまた追ってきたので 櫛をとり歯を折り投げつけるとタケノコになった。それを黄泉醜女達が食べ 追うことを忘れた。
今度は伊邪那美に群がっていた8体の雷神が追いかけてきた。黄泉の出口で桃の実を投げつけ追い払った。黄泉比良坂で追ってきた伊邪那美を巨大な千引の岩で黄泉の入口をふさいだ。
伊邪那美は「これから1日1000人 殺す」というと、伊邪那岐は「1日に1500人の子を生もう」と返し 決別した。この両神の応酬が人間の生死の起源を語る。
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※黄泉比良坂は出雲国の伊賦夜坂(いふやざか)といわれる。
島根県松江市 黄泉平坂 ‥黄泉比良坂 の候補地の1つ。
島根県松江市 揖夜神社(いやじんじゃ)‥黄泉比良坂 の候補地の1つ。伊邪那美命を祀る。
島根県安木市 比婆山久米神社奥の宮(熊野神社) ‥山頂近くに伊邪那美を祀る久米神社が鎮座。伊邪那美の御神陵がある。
広島県庄原市 比婆山、比婆山御陵 ‥県境にある1264mの山で 巨大な岩が千引の岩といわれる。山頂にある巨石 伊邪那美の陵墓と伝わる。
イザナギがみそぎ 三貴子 アマテラス スサノオ誕生
イザナギは黄泉の国から この世に戻り、川の流れで 心と体を清め みそぎを行い、たくさんの神々が生まれた。最後に顔を清めると、天照大神(アマテラス)、月読命(ツクヨミ)、須佐之男命(スサノオ)が生まれた。
天照大神は神々のくらす 高天原を治めることに、月読命は夜の世界を治めることになった。
須佐之男命には海原国を治めてくれと言ったが、大声で泣きわめくばかりで、海も大地も大荒れだった。訳を聞かれ「母上のところに行きたい」というと父に追放された。
天の岩屋戸(九州)
神生み比べの誓約
大きくて 暴れん坊のスサノオが 姉のアマテラスに挨拶に行くと、足音は山や川に響き、地面は大揺れ。アマテラスは高天原を奪いに来たと思い 戦う準備をして待ち構えた。
誤解を解きたいスサノオは 生んだ神を比べる 誓約(うけい)を申し出、アマテラスはスサノオの剣から宗像三女神を生み、スサノオはアマテラスの勾玉から5柱の男神が生まれた。別れに来たことをアマテラスが認めた。この時の正勝吾勝勝速日天忍穂耳命(アメノオシホミミ)が皇室の祖先となり、天穂日命(アメノホヒ)が国譲りの死者になる。
天の岩屋騒動・太陽神の復活
スサノオが喜びすぎ 大暴れし 機織り娘が亡くなった。アマテラスが悲しみ、天の岩屋戸に入り岩の扉を閉じた。そのため 天の世界も、地上の世界も真っ暗になり 災害や悪霊が出て来た。
困った神々が天安河原に集まり、知恵の神様 思兼命(オモイカネ)が夜明けの祭を考え、鏡と勾玉を作らせ聖なる木に飾った。天宇受売命(アメノウズメ)が上半身を裸で踊り、八百万の神々が大盛り上がり、アマテラスが 戸の陰から 顔を出した。「天照大神より尊い神がいらして 嬉しい」と アマテラスに鏡を差し出した。アマテラスが もっと見ようと 身を乗り出したのを 天手力男神(アメノタジカラオノミコト)が岩屋の外へ引き出し、 天にも地上にも また明るい光が差すようになった。
須佐之男命に罪滅ぼしの品をいっぱい 差し出させ、ひげや爪を切り 高天原から追放した。
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宮崎県西臼杵郡高千穂町 天安河原 : 神々が河原に集まり神議されたと伝えられる大洞窟。石ころを積み上げ祈祷すると叶うといわれ 洞窟の中は多くの伊勢で埋まっている。
宮崎県西臼杵郡高千穂町 天岩戸神社 西本宮 :天照大神がお隠れになられた天岩戸を御神体として祀る。岩戸川を挟み対岸にある東本宮は天照大神を祀る。
長野県長野市 戸隠神社 : 天手力男神が投げた天岩戸の岩扉が戸隠山とされる。奥社に天手力男神が祀られる。
埼玉県秩父市 秩父神社:天の岩屋戸伝説の 知恵の神 思兼命が祀られている。
三重県鈴鹿市 椿大神社別宮 椿岸神社:椿大神社はニニギが天孫降臨を果たすとき、道案内役をかって出た神 猿田毘古神を祀る。別宮の椿岸神社は 天の岩屋戸伝説で踊ったアメノウズメ を祀る。両神は男女の契りを結ぶ。
島根県松江市 佐太神社:大社造りの本殿が三殿並立しています。 祭神は全部で12柱、正殿に佐太大神、伊弉諸尊、伊弉冉尊。北殿に天照大神、瓊々杵尊。南殿に素盞鳴尊 が祀られています。
和歌山県日高郡みなべ町 須賀神社:「すがすがしい」土地に スサノオとクシナダヒメが宮を作った。
埼玉県さいたま市大宮 氷川神社:武蔵国一の宮、ご祭神は 須佐之男命、稲田姫命、出雲大社の縁結びの 大己貴命(おおなむち 別名 大国主命)。
八俣の大蛇(ヤマタノオロチ)を退治(出雲)
スサノオは 食べ物の女神 大宜都比売(オオゲツヒメ)のところによって 何か食べさせて欲しいと頼むと、鼻や口やお尻から 食材を出して 調理した。汚れた食べ物を出したと スサノオは激怒 殺してしまった。
殺された女神から 蚕・稲・粟など様々の作物が生まれた。これが地上の作物の種になった。
スサノオは 出雲国の肥の川 (斐伊川)にやって来た。流れてきた箸を拾い 川を上ると、美しい娘を間に老夫婦が泣いていた。その夫婦は大山津見神の子の足名椎命(あしなづち)と手名椎命(てなづち)であり、娘は櫛名田比売(クシナダヒメ.日本書紀では稲田姫)といった。
夫婦の娘は8人いたが、毎年現れる 八俣遠呂智(ヤマタノオロチ)という8つの頭と8本の尾を持った巨大な怪物がやって来て娘を食べてしまい、残るはこの子だけになり、今年もやって来る季節になったと泣いていた。
スサノオは クシナダヒメとの結婚を条件に ヤマタノオロチ 退治を請け負った。
まず、スサノオはクシナダヒメを櫛にして 自分の髪にさし、強い酒を用意させ、8つの桶に満たした。
やがてヤマタノオロチが やって来て、8つの頭を酒桶に突っ込んで呑み、酔って寝てしまうと、スサノオは十拳剣で切り刻んだ。大蛇の尾の中から大刀が出てきのでたので アマテラスに献上した。これが「草なぎの剣」と呼ばれ伝わっている。スサノオはクシナダヒメと結婚して 出雲の須賀で暮らした。これでスサノオの話しはおしまいです。
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島根県雲南市・松江市 天井川でたびたび氾濫を繰り返しておそれられた 斐伊川沿いに伝承地が点在する。
草枕山 : 酔い潰れたヤマタノオロチが枕にしたと伝わる。
八本杉 : スサノオはヤマタノオロチを退治後 8つの首を埋め その上に8本の松を植えたと伝わる。何度も流失し 現在の杉は明治に植えたもの。
天が淵: ヤマタノオロチが住んでいたと伝わる場所。
八重垣神社:スサノオとクシナダヒメを祀る。
須我神社:「すがすがしい」須賀の地に ヤマタノオロチ退治後 スサノオとクシナダヒメが住んだ宮。雲が盛んに立ち上がる様子を和歌にした。これが日本最初の和歌とされる。
八口神社(印瀬の壺神) : スサノオがヤマタノオロチを退治する際の「八塩折の酒」を盛った壺の一つが祭られています。その昔、壺を見ようと一人の若者が岩戸を開けたところ、雷鳴が轟き、大雨、地鳴がしたとの言い伝えがあります。
八俣大蛇公園(箸拾いの碑): スサノオがここで箸を見つけた。
温泉神社: クシナダヒメの両親 足名椎命と手名椎命が住んだところといわれ 二人を祀る神石がが安置されている。
尾留大明神旧社地(天叢雲剣の発祥地):スサノオがヤマタノオロチの尾を開いて、天叢雲剣(草薙剣)を手に入れた場所。
須佐神社(須佐大宮):スサノオがこの地に来て、自分の名前「須佐」を土地に命名し、自らの御魂を鎮めた。祭神はスサノオ 他オロチ退治に登場する四神が祀られ パワースポットになっている。
日御碕(ひのみさき)神社:出雲市の日御碕に鎮座する 出雲大社の 祖神(おやがみ)さま として崇敬を集める。スサノオを祀る神の宮とアマテラスを祀る日沉宮(日が沈む聖地)。
大国主の国造り
稲羽の素兎(シロウサギ)と国譲りの地
須佐之男命(スサノオノミコト)の6代後の子孫である大穴牟遅神(オオナムジ)がいました。八十神と呼ばれる多くの異母兄がいて オオナムジを馬鹿にしていた。
あるとき稲羽(因幡)の国に美しい娘 八上比売(ヤガミヒメ)がいると聞き 兄弟揃って結婚の申し込みに行くことにしたが、オオナムジ は 八十神の家来のように大きな袋を背負わされ、一番後からついていくことになりました。八十神は気多の岬で皮をはがれたウサギに「潮水を浴び 高い山の上で風に吹かれれば治る」と教えた。
オオナムジが 通りかかり ウサギになぜ泣いているか尋ねと「 隠岐の島に住んでいて 稲羽に住みたかったので 鮫をだまし 背中を渡たるが、ウソがばれ 白い毛をはぎ取られた。八十神に教えられた通りにしたら痛くてたまりません。」というので オオナムジは「川の水で体を洗い 蒲の穂をほぐして敷き詰め そこに体を転がせばいい」と 教えた。
ウサギはすっかり 元通りになり「ヤガミヒメを娶るのは 大きな袋を持った あなたです」といった。
その言葉に八十神は怒り狂って、赤猪だと偽り 火で真っ赤に焼いた石を山の上から落とし 麓で捕らえよと命じた。オオナムジが焼け死んだので、母の神は高天原に上って 神産巣日神(カミムスヒ)に頼んだ。2柱の女神が地上に遣わされ オオナムジは 生き返った。
八十神は、諦めずに 巨大な木の割れ目に オオナムジを入れ殺してしまった。
またお母さんが生き返らせ、木国(紀伊の国)の大屋毘古神(オオヤビコ)の所に行くようにいった。
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※大穴牟遅神(オオナムジ) は大黒様と呼ばれるようになりました。
鳥取県鳥取市 白兎海岸:大国主神(オオナムジ)とシロウサギが出会ったところ
〃 白兎神社:シロウサギが体を癒やした地
〃 賣(売)沼神社(めぬまじんじゃ):因幡の白うさぎに登場する八上比売(ヤガミヒメ)を祀る
オオナムジ スサノオの試練を超え 大国主となる
大穴牟遅神(オオナムジ)は、木国にやってきたが、八十神も追いかけてきた。
オオヤビコの手引きで 大きな木の股に開いた穴からに出ることができ たどり着いたのは 須佐之男命(スサノオ)の治める 黄泉の国 根之堅州国(ねのかたすくに)。オオナムジは スサノオの娘 須勢理毘売(スセリビメ)と出会い 恋に落ちますが、スサノオはオオナムジを試すため次々と難題を課した。
蛇がはい回る部屋、次に蜂とムカデの部屋に閉じ込められます。スセリビメにもらった魔力のある布で追い払います。野原で火攻めにされ ねずみに逃げ道を教えられ切り抜けます。最後にスサノオの頭のシラミ取りを命じます。頭にいたのはムカデだったがスセリビメの機転で解決する。スサノオの生太刀と生弓矢を奪い、スセリビメと 黄泉比良坂を駆け上った。
スサノオは 去って行く オオナムジに 娘のスセリビメを正妻として、大国主神(おおくにぬしのかみ)と名乗るよう伝えて見送った。
大国主神の国造りと恋愛
大国主神は 出雲の宇迦の山麓(御崎山)に宮を設け、葦原中国(あしはらのなかつくに)の支配者となった。スサノオの神宝の太刀と弓矢で八十神を退け国造りを始めます。
島根県の出雲大社では、御祭神「大国主大神」として祀られています。
ここで 大国主神は各地の女神と結ばれ 平定していきます。
稲羽のシロウサギ神話の八上比売(ヤガミヒメ)は 妻になったが 正妻 スセリビメの嫉妬を恐れ 子を残し稲羽に帰った。
越(現在の福井県~山形県の一部) に住む 沼河比売(ぬなかわひめ)と歌を交わし結ばれる。
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福岡県宗像市沖ノ島の宗像大社 沖津宮に祀られ、宗像三女神の一柱でもある多紀理毘売命(たぎりひめのみこと)との子が二人。他に神屋楯比売命(かむやたてひめのみこと)や、鳥耳神(ととりのかみ)。
島根県出雲市 御井神社:ヤガミヒメは大国主命の子を身ごもるが 正妻 スセリビメに遠慮し 引き返し、途中で生まれた 木俣神(このまたかみ)のうぶ湯に使われたことから 安産延命の水神とされ、生井、福井、綱長井の井戸は今も涸れない。
小さい神 スクナヒコナが国造り手伝い 完成
海の彼方から、船に乗った小さな神が出雲の美保の岬に漂着した。その神は名も名乗らず 素性もわかりません。物知りの 案山子の 久延毘古 (クエビコ) に聞いた。※知恵の神・知識の神ともいわれる。
神産巣日神(カムムスビ)の子の、少彦名命(スクナヒコナ)だとわかった。
※ 八上比売(ヤガミヒメ)の時に母の神が 神産巣日神(カムムスビ)に願い出て 助けられていた。
カムムスビが大国主とスクナヒコナに力を合わせ 国づくりをしなさいと命じた。
2柱の神は力を合わせ この国を豊かな国造りを始めたが、スクナヒコナが常世国へ去ってしまった。
大国主が途方に暮れていると 海原から 輝く 大物主神(オオモノヌシ) がやって来て「私を倭(大和)をかこむ 山並みの東の峰に祀ってくれたら 力を貸そう」といった。
大国主はさっそく倭の三輪山にオオモノヌシを祀った。おかげで大国主は地上全体を治める偉大な神となった。
大国主の国譲り
大国主に高天原からの使者
大国主が造った 葦原中つ国(あしはらのなかつくに)は大いに繁栄しました。高天原の天照大神(アマテラス)が「中つ国は我が子の忍穂耳命(オシホミミ)がおさめるべき」と宣言 、昔 スサノオが高天原に上ってきて アマテラスと誓約(うけい)の占いをしたとき 生まれた 天之菩卑能命(アメノホヒ)を 中つ国に行かせたが、大国主と仲良くなって3年も戻ってきません。
3年経っても連絡が無いので 神々が 会議を開き 知恵の神様 思兼命(オモイカネ)が天若日子(アメノワカヒコ)を行かせた。アメノワカヒコは 大国主の娘 下照比売(シタデルヒメ)と結婚 出雲に君臨できたらと 考えていた。
8年もアメノワカヒコ から連絡が来ないので、高御産巣日神(タカミムスヒ)と天照大神は鳴女(ナキメ)という雉(『鬼滅の刃』にも登場)を下界に遣わした。
アメノワカヒコは鳴女を弓矢で射殺した。その矢は 天の タカミムスヒと天照大神の足元に届いた。
アメノワカヒコに与えた矢だったので、タカミムスヒは「もし天に逆らう心で射た矢ならアメノワカヒコに天罰を!」と呪文をかけ 矢を投げ返した。矢は アメノワカヒコの胸に刺さって、命を奪った。
出雲大社
ついに実力行使にでることに 天照大神は 建御雷之男神(タケミカヅチ)を派遣。
出雲の伊那佐の浜に 降り立ったタケミカヅチは 剣の柄を海に刺して立て 刃の切っ先上にあぐらをかいて大国主に 国譲りを迫ります。大国主は「息子がいるので聞いてください」というので、タケミカヅチは 大国主命の子 事代主神(コトシロヌシ)に話し譲り受けた。もう一人の息子 建御名方神(タケミナカタ)は力くらべを挑むが敗れ、諏訪湖 に逃げ降伏した。
大国主は、国を譲るかわりに、出雲に高天原に届くほど高い宮殿の建設をを条件に国を譲り渡すことを承諾しました。
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島根県出雲市 稲佐の浜:高天原の天照大神の使者 建御雷之男神らと大国主が対峙した場所。
島根県出雲市 出雲大社:大国主の神殿として創建された。古代より連綿と続く出雲国造家の千家氏が代々 宮司を続ける。
島根県松江市 美保神社: 大国主の息子 事代主神(コトシロヌシ)を祀る。
長野県諏訪市 諏訪大社:国譲りで敗れた 大国主の息子 建御名方神(タケミナカタ)を祀る。
奈良県御所市 高鴨神社:大和の名門の豪族「鴨の一族」が守護神として祀った社の一つ。京都の賀茂神社を始めとする全国のカモ神社の総本社。主祭神は大国主神の子の阿遅志高日子根命(あぢしきたかひこね)別名 迦毛之大御神(かものおおみかみ)で、コトシロヌシ、シタデルヒメ、アメノワカヒコを配祀神としています。
天孫降臨
高千穂に 天照大神の孫が地上に降りる
建御雷之男神(タケミカヅチ)から 中つ国の平定を聞いた 天照大神は、スサノオの剣から生み出した天之忍穂耳命(アメノオシホミミ)に統治を命じます。アメノオシホミミは 高御産巣日神(タカミムスヒ)の娘との間にできた息子の邇邇芸命/ 瓊瓊杵尊(ニニギ)を推薦したため、天照大神の孫 ニニギが地上に降りることになった。
天照大神は ニニギのお供に 天の岩屋から引き出すとき活躍した天宇受売命(アメノウズメ)ら5柱の神々を選んだ。そして八咫鏡・草薙剣・八坂瓊勾玉の三種の神器(皇室の象徴)与えた。
ニニギは猿田彦神 の案内で 八百万神を従え、高天原から 日向の高千穂の峰におりた。(天孫降臨)。
ニニギは、天宇受売命に 猿田彦神を伊勢に送るよう命じ、「猿女(サルメ)」と名乗らせた。
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宮崎県都城市 高千穂峰 :天孫降臨の地とされる。
三重県伊勢市 伊勢神宮 内宮(皇大神宮): 皇室の御祖先である天照大御神と、衣食住や産業の守り神である豊受大御神が祀られています。
〃 猿田彦神社: 天孫降臨の時 ニニギを案内した猿田彦大神を祀る。
〃 佐瑠女神社:天の岩屋戸で踊ったアメノウズメ を祀る。
茨城県鹿嶋市 鹿島神宮:国譲りに導いた 武神の 建御雷之男神(タケミカヅチ)を祀る。尚 奈良の春日大社はここの建御雷を勧請したもの。
千葉県香取市 香取神宮:祭神は日本書紀の国譲り神話に登場する 経津主大神( ふつぬし) である。
※ 明治以前に「神宮」の称号を与えられていたのは伊勢、香取、鹿島のみでした。
滋賀県東近江市 太郎坊宮(阿賀神社):天照大神の子 アメノオシホミミ(稲穂の神、農業神)を祀る。
大分県大分市 西寒多神社:ご祭神は西寒多大神(ささむたのおおかみ)で、天照皇大御神、月読尊、アメノオシホミミの総称です。
ニニギの結婚・火中で誕生した御子
邇邇芸命(ニニギ)は笠沙の岬で 美しい娘がいたので名を聞いたら、 山の神 大山津見神(オオヤマツミ)の娘 木花之佐久夜毘売(コノハナノサクヤビメ)と答えた。
(※当時 名を聞くのは求婚のしるし、答えると受け入れたことになる)
ニニギはオオヤマツミにも会い、結婚の際にも共に嫁いできた 醜い姉のイワナガヒメを追い返したため、岩のように永遠に続く命を失い、ニニギとその子孫(歴代天皇)は 人間のように寿命ができてしまった。
コノハナノサクヤビメがニニギに「赤ちゃんができた」と告げたが、「日も浅くこんなに早く生まれるはずがない」と疑ったので、コノハナノサクヤビメは「天孫の子でないなら無事に生まれるはずがない」と一人産屋にこもって 火をつけてしまった。姫は炎の中で三柱の息子を無事産み、ニニギの子であることを証明した。
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鹿児島県南さつま市 笠沙の岬:邇邇芸命(ニニギ)と 木花之佐久夜毘売(コノハナノサクヤビメ)の出会いの地
宮崎県西臼杵郡高千穂町 高千穂神社:瓊瓊杵命(ニニギ)以下5世代の神々を祀る。近くに 高さ約80~100mもの断崖が約7kmに渡って続く 高千穂峡がある。
宮崎県西都市 西都原(さいとばる)古墳群:ニニギと コノハナノサクヤビメの墓や、2柱を祀る都萬(つま)神社 がある。周囲にも多くの伝承地があり それらをつなぐ 記紀の道 が整備されている。
宮崎県宮崎市 木花神社:ニニギと コノハナノサクヤビメを祀る。産屋や産湯の霊泉がある。
福島県いわき市勿来町 國魂神社:ご祭神は大国主命、須勢理姫、少彦名命。例祭は「どぶろくまつり」
島根県出雲市 那賣佐神社(なめさ):主祭神は大国主大神の別名、葦原醜男命(あしはらしこお)と須佐之男命の御子でこの里の岩坪で生誕した須勢理姫命。
静岡県富士宮市 富士山本宮浅間大社:富士山の噴火を鎮める願いを込め 火の中で出産した木花之佐久夜毘売(コノハナノサクヤビメ)を祀っています。
山梨県笛吹市 甲斐国一之宮 浅間神社:祭神は 木花開耶姫命(このはなさくやひめ)は、大山祇神の御女で、天孫瓊々杵命の妃として皇室の始祖大御母と仰ぎ奉る。
海幸彦・山幸彦 兄弟の争い
コノハナノサクヤビメ の生んだ ニニギの三柱の息子
・[長男]火照命(ホデリ)…釣り道具を使って海の幸を獲るので海幸彦(うみさちひこ・海佐知毘古)と呼ばれる
・[二男]火須勢理命(ホスセリ)
・[三男]火遠理命(ホオリ)…弓矢を使って山の幸(獣)を狩るので山幸彦(やまさちひこ・山佐知毘古)と呼ばれる
ある日のこと、弟 ホオリは 兄 ホデリに 道具(釣り針と弓矢)を交換しないかと提案。兄 はあまり乗り気ではなかったのですが、弟が執拗にせがむので、渋々交換。
ホオリは釣り針を魚にとられてしまい、剣を溶かし針を作ってもホデリは許してくれなかった。
ホオリが困って泣いていると、塩椎神(シオツチ)が姿を現し 海神 綿津見神(ワタツミ)の宮に行くと良いとアドバイス。ホオリが竹で編んだ船に乗り ワタツミの宮殿に。御殿のそばの泉を見つけ木に登っていると 豊玉毘売(トヨタマビメ)が出てきて 目が合った瞬間 恋に落ちます。ワタツミも ホオリを歓迎し 娘との結婚を許した。
ホオリとトヨタマビメは幸せに暮らし、3年経った頃ホオリはなくした釣り針のことを 思い出しため息をついた。ワタツミに相談すると 魚たちに聞いて 釣り針を見つけた。
ホオリに秘策を授け 潮の干潮を操る2つの珠を授け 鮫で送らせた。
※無事に送り届けてもらった 山幸彦は 御礼に 紐付きの小刀を鮫の首にかけた。その鮫は サイモチの神と呼ばれるようになった
山幸彦(ホオリ)は、さっそく 兄の海幸彦(ホデリ)の所に行って 教えられたとおり 釣り針を後手で返した。ホデリは不漁が続き 貧しくなっていった。やがてホデリが 焦りのあまり 攻めてきた。ホオリは「二つの珠」を取り出し 潮を操り ホデリを降参させた。兄はホオリに背かず 護衛になることを誓う。その子孫である南九州の隼人が大和朝廷に服従するようになった。
山幸彦(ホオリ)の子が神武天皇に
山幸彦(ホオリ)が中つ国を治めることになった。そこへ 豊玉毘売(トヨタマビメ)が身ごもっていて宿っていて 出産のためやって来た。トヨタマビメは「海の国では 元の姿に戻り お産しますので 姿を見ないでください」と言って産屋に入った。ホオリはつい産屋をのぞくと 巨大なワニがのたうち回っていた。トヨタマビメは無事赤ちゃんを生んで「鵜の羽の屋根が葺き終えるまえに生まれた男の子」として、鵜草葺不合命(ウガヤフキアエズ)と名付けられました。
しかし トヨタマビメは本当の姿を知られたことを恥じて ワタツミの宮に帰り、妹の玉依毘売命(タマヨリビメ)を送り 子育てを任せた。ホオリ は高千穂で中つ国をおさめ続け なんと580歳まで長生きし、お墓は高千穂の山の西にある。
ウガヤフキアエズ は母の妹のタマヨリビメと結婚、4柱の息子 彦五瀬命(イッセ)、稲飯命(イナヒ)、三毛入野命(ミケヌ)、若御毛沼命(ワカミケヌ=神武天皇)を得た。
天から下った 邇邇芸命(ホノニニギ)は山の神の娘と結婚し 山幸彦(ホオリ)を生み、その山幸彦が海の神の娘と結婚し、これより 中つ国は天の神と 山の神と 海の神の血を引く者が治めて行くことになる。(上巻 完)
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宮崎県宮崎市
鬼の洗濯板:海神の国から 火遠理命(ホオリ)が帰ってきた土地。
青島神社はホオリの宮跡とされ、ホオリとトヨタマビメが祀られている。
鵜戸神社:トヨタマビメが出産したところで、子の鵜草葺不合命(ウガヤフキアエズ)を祀る。
宮崎県日南市 潮嶽神社: 火遠理命(ホオリ)を祀る。
鹿児島県霧島市 霧島神社:主祭神 瓊瓊杵尊(ニニギ)、相殿 コノハナノサクヤビメ、天照大神、神武天皇を祀る。
〃 鹿児島神宮(大隅正八幡宮):ホオリとトヨタマビメが祀られている。
鹿児島県南九州市 豊玉姫神社:トヨタマビメが祀られている。
長崎県対馬市 対馬國一宮 海神神社(わたつみ、通称 かいじん):旧国幣中社。主祭神は豊玉姫命。神功皇后が新羅平定した証として旗八流を納めたという。
福井県小浜市 若狭彦神社(若狭國一宮 上社)、若狭姫神社(若狭國一宮 下社):上宮には若狭彦大神(ホオリ)、下宮には若狭姫大神(トヨタマビメ)が祀られている。
宮城県塩竃市 鹽竈神社: 戦の神である武甕槌神(タケミカヅチノカミ)と経津主神(フツヌシノカミ)を祀る。 海の守護神であり人々に製塩の方法を伝授した鹽土老翁神(シオツチノオジノカミ)は別宮に祀られています。
神奈川県足柄下郡箱根町 箱根神社:祭神は箱根三神の 瓊瓊杵尊、コノハナノサクヤビメ、を祀る。
静岡県御前崎市 白羽(しろわ)神社(白羽大明神):天津日高日子穂々出見尊(ホオリ)・豊玉姫命・玉依姫命を祀る。古くは海辺で名馬が育つと国有の馬牧場の守護神として馬関係の参詣者が多い。
宮崎県日南市 鵜戸神宮:神武天皇の父 ウガヤフキアエズを祀る。太平洋に突き出た岬の突端の洞窟の中に朱塗りの本殿がある。
奈良県橿原市 橿原神宮:御祭神 神武天皇が畝傍山の東南・橿原の地に宮を建てられ即位の礼を行われた宮址に、明治23年に創建された。
京都府京都市 賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ 通称 下鴨神社):西殿に 賀茂建角身命、東殿に玉依媛命 が祀られている。賀茂建角身命は古代の京都を開いた神で、八咫烏に化身して神武天皇を先導したという言い伝えがある。賀茂建角身命の娘が玉依媛命という。古事記と違うが神に仕える巫女の意味があって同一神としてるそうです。
千葉県長生郡一宮町 玉前(たまさき)神社:1200年以上の歴史がある格式高い古社。タマヨリヒメは海からこの地に上がり 姉 タマヨリヒメに託された ウガヤフキアエズを養育、後に結ばれ 神武天皇を含む4人の子供を生みました。神武天皇の母 玉依姫命 が祀られている。
奈良県吉野郡吉野町 吉野水分(みくまり)神社:水の分配を司る天水分大神(あめのみくまりのおおかみ)を主祭神に玉依姫命(神像は国宝)以下6柱の神を祀る世界遺産の神社。子守宮(こもりのみや)ともいい、子授け・安産・子どもの守護神として篤く信仰されている。豊臣秀吉が子授け祈願をし授かったことから、現在の社殿はその秀頼が再建した。
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