ギリシア神話を読んでみた。ちょっとしか知らなかった。突拍子ないことばかりで驚きますが面白かったです。ヘラクレス王の冒険・テーセウス・ダイダロスとイカロス・オルペウスとエウリュディケ・エロスとプシュケなどの逸話のあらすじ・星座・どの辺?のメモです。
出典:のら書店 「ギリシア神話」石井桃子編・訳/富山妙子画
ネットで見ると 名前表記も エピソートも かなり違ってきます。
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※Wikipediaによると ギリシャとギリシアの表記法について
西洋古典学・歴史学・哲学などは「ギリシア」と表記する慣行を取っている そうです。それは西洋古典学でia を「イア」と書くという習慣があり、哲学分野でもほぼ同様であるそうです。
よって 現代については「ギリシャ」西洋古典学・歴史学・哲学に関しては「ギリシア」と表記を2本立てにすることを提案いたします。
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ギリシア神話の神がみ 最初の神カオス オリンポス12神
プロメテウスの火 パンドラ デューカリオンの大洪水
アポロンとダフネ・ヘルメス・アルゴス デメテールとペルセポネ パエトンと火の神の車
ペルセウスとメドゥサ アトラス アンドロメダ カドモス王 イアソンと黄金のヒツジの毛皮
ベレロフォンとペガソス エコー ナルキッソス アラクネ ヘラとハルキュオネ ミダス王
ヘラクレスの12の冒険
英雄ヘラクレス
ヘラクレス(ヘーラクレース)は 神々の父ゼウスとミュケナイ王女アルクメネ(アルクメーネー)の息子です。アルクメネは メデューサ退治で有名なペルセウスの孫、ペルセウスもゼウスとアルゴス王女ダナエの息子でした。
アルクメネを見初めたゼウスは 言い寄ったが アルクメネはアンピトリュオンとの結婚の約束を守り、決してなびかなかった。そこでゼウスは彼が戦いに出かけて不在の時、アンピトリュオンの姿で思いを遂げ 1夜を3倍にして楽しんだ。アルクメネは ヘラクレスとイフィクレス(イピクレス)を産んだ。
アルクメネが産気づいたとき、ゼウスは「今日生まれる最初のペルセウスの子孫が全アルゴスの支配者となる」と宣言した。それを知ったゼウスの妻ヘラは、出産を司る女神をつかわして 双子の誕生を遅らせ、もう一人のペルセウスの子孫のエウリュステウスを先に世に出した。このため ヘラクレスはミュケナイ王になれず 王になった エウリュステウス に臣従することになる。
ゼウスはヘラクレスに不死の力を与えようとして、眠っているヘラの乳を吸わせた。ヘラクレスの乳を吸う力が強く 目覚めたヘラは赤ん坊を突き放し 乳が飛び散り 天の川になったといわれています。
嫉妬深いヘラは二匹の毒蛇を双子が寝ている揺り籠に放ったが 赤ん坊のヘラクレスは素手で毒蛇を絞め殺した。
ヘラクレスは大きくなるにつれ ギリシャの少年達が誰でも習うべきことを みっちり教え込まれた。もっと大きくなるとヘラクレスは山の上で牛飼い達と一緒に暮らした。
ある日「楽な道ではなく つらい道を選べば最後にはオリュンポス山にいける」という不思議な夢を見た。『ヘラクレスの選択』と言えば、敢えて苦難の道を歩んでいくことを言うのです。
その後ヘラクレスは いとこの ミュケナイ王 エウリュステウスに仕えることになります。女神ヘラが妬み心を吹き込んだので、困ったことが起きます。ヘラクレスの立派な体格に ひ弱なミュケナイ王は嫉妬し ヘラクレスに思いつく限りの危険な冒険を言いつけようと 心に決めた。
第1の冒険 ネメアのライオン退治
ミュケナイ王 エウリュステウスは ヘラクレスにネメアにある ゼウスの神殿を取り囲む 森の近くに住むライオン退治を命じました。
ヘラクレスは弓と矢だけもって 出発し ヘリコン山のふもとで野生のオリーブの木を見つけこん棒を作った。ライオンの皮は硬く弓矢をはじいたので ヘラクレスはこん棒でライオンをたたき 絞め殺した。ヘラクレスは、ネメアのライオンの毛皮を肩にまとい、ライオンの首を兜のように頭に乗せ エウリュステウス王のところに帰ってきた。ヘラクレスはこん棒を作り直し ライオンの毛皮をいつも身につけていた。
第2の冒険 レルネのヒュドラ退治
エウリュステウス王は今度は ヘラクレスにレルネのヒュドラ退治を命じました。
ヒュドラは9つの頭を持ち 切られても次々と新しい頭が生えてくる水蛇で 底なし沼に住み、その毒を含んだ息を吸ったものは絶命するといわれていました。このヒュドラはアミュモネの泉の近くにある穴に住んでいた。アミュモネの泉は昔この地方がひでりで困ったとき 海の神ポセイドンがニンフのアミュモネに先が3つに分かれたほこを貸してやって 吹き出させたといわれています。
ヘラクレスはふたごの弟イフィクレスの息子イオラオスを狩りを教えるために連れて行った。
ヒュドラを弓で撃つと 穴から出てきたので 剣を抜いて ヒュドラの首を切り落としますが 後から2つ生えてくるのでした。イオラオスを呼んで 火のついた枝でヒュドラの頭が生えてこないよう切り口を焼かせた。最後のヒュドラの首を断ち切ると、この首は死なないので燃えません。首はもっと毒を吐き出しますが ヘラクレスは大きな岩を 首の上にのせた。それでも息をしていたが悪さはしなくなった。
ヘラクレスは自分の矢じりにヒュドラの毒を塗りました。でも 毒を塗らなければと後悔することになります。
第3の冒険 エリュマントス山のイノシシの捕獲
エウリュステウス王は次に ヘラクレスにエリュマントス山に住むイノシシを生け捕りにして連れてくるように命じた。王はもっと骨の折れる生け捕りをやらせようと思った。
エリュマントス山はアルカディア地方にあった。途中で半分人間で半分馬のケンタウロスのフォロスの住む洞穴を訪ねた。お酒の神ディオニュソスから おくられヘラクレスが来るまで開けていけないといわれていたぶどう酒を開けると 酒のニオイのため 気が荒い他のケンタウロスが 襲ってきました。
ヘラクレスは身を守るため弓矢をつかうと 毒矢の恐ろしさに ケンタウロスは逃げ出した。フォロスが毒矢を手に持って眺め 足に落としてしまい 死んでしまい 毒を塗らなければと後悔した最初でした。
ヘラクレスはエリュマントス山へ登って 凶暴なイノシシを生け捕り 持ち帰ります。
エウリュステウス王は いつ帰るか見ていて ヘラクレスの姿を見ると 驚いて青銅の壺に身を隠しました。ヘラクレスは見ないフリをして イノシシをその青銅の壺に放り込みました。イノシシも驚いて 壺の隅にうずくまってしまい 王はケガもしなったのでした。
第4の冒険 女神アルテミスの鹿
エウリュステウス王は今度はどうするか知恵を絞った。アルカディア地方の外れを囲む森にはたいへん足の速い牡鹿(ケリュネイアの鹿)が住んでいて 幾度も狩人達を惑わせていた。ヘラクレスに 王はこの牡鹿を生け捕りにしてくるよう 言い渡しました。
真ちゅうのひづめと金の角を持つ鹿は、たいへん遠くまではねることができ、女神アルテミスの神殿に住んでいて 女神に守られていると考えられていた。
ヘラクレスは、1年かけて牡鹿を追い ほとんどヨーロッパを一回りして 女神アルテミスの神殿に戻ってきてきました。ヘラクレスが捕まえようとしたら 女神アルテミスは「牡鹿は私のものです。さわってはいけません。エウリュステウス王の所に行って これまでのことを話せば 第4の冒険が済んだと認めてくれるでしょう」 といわれた。
第5の冒険 ステュムパロスの湖の鳥退治
エウリュステウス王はステュムパロス山の悪い鳥を追い払う仕事をヘラクレスに命じた。
ステュムパロスの谷間に住む 鳥は農作物や牛や羊の群れを食い荒らし、時には人間の子供までさらっていきました。この鳥たちの鋭い爪は鉄でできており 羽の1枚1枚は矢の先ように鋭く そのとがった先で敵を刺すのでした。鳥たちは空を飛び 羽根を矢のように一斉にまき散らすこともできた。
ヘラクレスはアテナの女神から いただいた青銅の楯を持って ステュムパロスの湖に出かけ 楯を頭の上にかざし 青銅の鈴を鳴らしました。このやかましい音に鳥たちは驚いて 黒雲のように空に舞い立ち、ヘラクレスを見ると鋭い羽根の矢を一斉に落としてきた。羽根の矢は楯に当たり まわりの森の木々を引き裂いた。それでもヘラクレスは鈴を鳴らし続けると 高い木の上に6羽の見張りを残して遠くに飛んでいってしまった。ヘラクレスは6羽を毒矢で打ち落としました。それからは鳥たちはステュムパロスの湖に戻ってこなかった。
第6の冒険 アウゲイアス王の牛小屋掃除
エウリュステウス王はヘラクレスのにアウゲイアス王の牛小屋掃除を1日でするように命じた。
アウゲイアス王は 日の神の息子とも海の神ポセイドンの息子であるといわれ イアソンの黄金のヒツジの毛皮探しに アルゴー号に乗って出かけた英雄の1人でした。
アウゲイアスはエリスの王になり 牛を3000頭飼っており その中に日の神に捧げられた12頭の雪のように白い牛がいて その中の1頭が特に真っ白で皆の頭になっていてパエトンと呼ばれていた。ライオンやオオカミが山から襲いかかっても 12頭の牛が追い返していた。
ヘラクレスはいつものように ライオンの毛皮を肩にかけ 牛の群れに入ると パエトンが突進してきたが 角をつかみ 頭をひねり地面に押しつけた。3000頭の牛が飼われている小屋は、30年もの間、1度として掃除されたことがなく 1列に川の土手沿いに長く続いていた。ヘラクレスが、2つの川の流れを変え 牛小屋の中を通るようにした。すると牛小屋の汚れがきれいに流された。
第7の冒険 クレタ島 ミノス王のオウシ 捕獲
ミノスはクレタ島の王になるとき ゼウスに生け贄を捧げて 位につきたいと 海の神ポセイドンに祈り ミノスに白いオウシが与えられた。ミノスは このオウシのあまりの立派さに自分のものにしてしまいました。すると 神々は怒り 牛の穏やかな性質を取り上げ 乱暴な恐ろしいけものに変えてしまった。オウシは森をうろつき廻って 島の人々に怖がられた。
ヘラクレスは、このオウシを生け捕ることを命じられ、オウシの現れるという泉のそばで待つと ヘラクレスめがけ 角を立てて突進してきた。ヘラクレスは 押さえつけ 地面に押しつけると オウシは自分より強い人間が現れたので 元の性質が戻って すり寄ってきた。それからオウシはヘラクレスのあとをついてくるようになり、ヘラクレスはオウシにまたがって海を渡り エウリュステウス王の宮殿へ戻りました。
第8の冒険 トラキアのディオメデス王の人食い馬 捕獲
トラキアのディオメデス王は残酷な戦争好きの王様で、戦の神アレスの息子といわれた。
この王は「旅人を 親切にもてなすように」という習わしを守らなかった。ディオメデス王の近くの海岸で難破すると それっきり行方がわからなくなることが度々でした。ディオメデス王は2頭の牝馬を飼っていて、この馬が気性の荒いのは人間を食べさせられているからだと噂され、難波した人が不明になるのもわかるといわれていた。
エウリュステウス王は、ヘラクレスに ディオメデスの馬を生け捕りにしてくるようにと命じました。
ヘラクレスはディオメデス王の国に行くと 本当のことだったとわかりました。馬小屋に行って 番人を打ち負かし 暴れ馬の鎖を解いて海岸に連れ出した。戦好きのディオメデス王が追ってきたので ヘラクレスは打ち負かし とりこにしてしまいました。それ以来ディオメデス王は残酷なことはできなくなった。ヘラクレスは 馬たちを連れ帰り ミュケナイのエウリュステウス王へ差し出した。けれども 2匹の馬は逃げだしアルカディアを走り回っていたが オオカミに食われてしまった。
第9の冒険 アマゾンの女王ヒッポリュテの帯
ヘラクレスはエウリュステウス王から アマゾン(アマゾネス)族の女王ヒッポリュテの帯を取って来ることを命じられた。アマゾンは戦争と狩りが好きな女だけの国で そこに住む女たちもアマゾンと呼ばれていた。コーカサス山脈や黒海の畔にかけて住んでいました。戦の神アレスが 女王ヒッポリュテに贈った帯は剣などを吊す戦争の道具で不思議な力が潜んでいた。エウリュステウス王の王女は神に仕える祭祀でギリシャ人のため役立つだろと考えた。
ヘラクレスがアマゾンの国に出かけ 女王の住む宮殿のすぐ下の海岸に船を着けた。ヒッポリュテは有名な勇士ヘラクレスを迎え、喜んで 宝石がちりばめられた金の帯を贈ってくれました。けれども、執念深いヘラがアマゾンの1人に「おまえたちの女王が ギリシャ人にさらわれていく」と伝えると 戦い好きの多くのアマゾンが集まり 裏切ったと思い 船の上の女王ヒッポリュテを殺してしまいました。
ヘラクレスは帯をもっていたので エウリュステウスの王女に 持って帰ることができました。
第10の冒険 ゲリュオネスの赤い牛
ミュケナイの近くの怪物は皆退治されてしまったので、エウリュステウス王は太陽が沈む向こう側の国に行って巨人ゲリュオネス(ゲリュオン)が飼っている 多くの赤い牛を連れてくるよう命じた。
ゲリュオネスは 3つの頭と3つの胴体と6本の手と6本の足を持つ怪物で2つの翼まではやしていました。数え切れないほどたくさんの牛を飼っていて 夜は洞穴に入れていた。
ヘラクレスは 日の神ヘリオスから 金の杯を借ります。日の神は毎夜 金の杯に乗って 世界の向こう側を西から東に運ばれていた。金の杯は水に浮かび 大きくも小さくなることができた。
ヘラクレスは金の杯に乗って 西へ西へと向かった。太陽の神オケアノスは自分の領分に侵入され 怒って大嵐を起こした。ヘラクレスはひるまず オケアノスに強い矢を射ろうとして構えると、オケアノスはヘラクレスの勇気に愉快そうに笑い出すと 海は静まった。
やがて目指した島に着いて 高い山に登り 牛を探し番犬や牛飼いを倒し連れて行こうとしたとき ゲリュオネスが現れたので あの毒矢を放ち退治しました。赤い牛たちを金の杯に追い込み 牛を連れて帰ることに成功しますが、途中、牛を狙う様々な敵に襲われ 牛は減りましたが エウリュステウス王の元に戻った。
ヘラクレスは途中 北アフリカとヨーロッパの境で2つの山を引き裂いて ジブラルタル海峡を作ったといわれる。2つの山は後の世でも「ヘラクレスの柱」と呼ばれる。
第11の冒険 ヘスペリデスの庭で黄金のリンゴの入手
エウリュステウス王はヘラクレスをもっと遠くの危険な場所に行かせたいと思い 名高いヘスペリデスの庭に行って金のリンゴを3個取ってくるよう命じた。
ペルセウスがメデューサ 退治の途中で寄ったところででした。どこにあるかは ヘラクレスに教える人がいなく ようやく 海の老人ネレウスに聞いてエジプトに行くよう教わります。
アフリカの海岸に着くと 地の女神ゲアの息子のアンタイオスが向かってきましたが 地面から高く持ち上げて殺した。これからは 旅人が殺されることがなくなった。
ヘラクレスはアフリカ中を探し 大空を肩に乗せている 巨人アトラスを見つけ「ヘスペリデスの金のリンゴ 3個もいできてくれるなら しばらく私が天をささえてあげよう」と話しかけると、アトラスは 替わってもらうと 姪のニンフが番をしている ヘスペリデスの庭に行って金のリンゴをもいできました。
ヘラクレスは「肩が痛くなったので 何か肩に当てるものを探してくるので もう一度ちょっと持ってください」と頼み アトラスの肩に天空を返しました。そして ヘラクレスはリンゴを持って立ち去りました。
第12の冒険 冥界の 三つ頭の番犬ケルベロスを連れ帰る
ヘラクレスは今までエウリュステウス王と約束を11までやり遂げました。
何とかして達成させまいと策を練り 地下の死の国(冥界)の 三つ頭の番犬ケルベロスを連れ帰ることでした。もちろん エウリュステウス王は 地下のハデス王の国へ行ったら生きて戻ってこれないと思っていました。
そこは ヘスペリデスの庭より もっと西の世界の果てに 暗い陰気な森があって 2つの大きな岩の間の裂け目の底に 墨のように黒い水が泡立っていました。気持ちの悪い硫黄のようなニオイがし ゴロゴロと気味の悪い音が時々聞こえた。ここがハデス王の入り口の1つでした。
しかし、ヘラクレスは恐ろしい思いをしたことがないので 裂け目を降り、地の底に着き、暗い道の先の門に着くと 番犬ケルベロスは よろこんで迎える様子です。さらに奥に進んで ついに地下の国王ハデスの前まで来ました。ヘラクレスは正直に エウリュステウス王の命令できたことを話すと 今までに数多くの手柄を立てたことを ハデス王は知っていました。そしてヘラクレスが本当の英雄だと知っていたので 何も武器をつかわずに捕まえるよう言いました。
ヘラクレスは 牙をむきだして 吠えかかる 3つ頭のケルベロスを 万力のように力強い両手で素早く 捕まえてしまいました。
エウリュステウス王はヘラクレスが 3つ頭のケルベロスを持ち帰ったことに 王座から転げ落ちほど驚きました。そして 約束通り いとこに自由を与えました。けれども ミュケナイの国を奪われることを 恐れ
ここに 二度と足を踏み入れてならないと命じた。もちろん ヘラクレスは王位を狙おうと夢にも考えていませんでした。
オリュンポス山
ヘラクレスはその後も 人々のために 獣や怪物を退治し、助けを求める王たちに力を貸し 名が高まってきた。ヘラクレスが花嫁のデイアネイラと生地ティリュンスに帰るときのことです。2人は エウエノス川の急流にさしかかると 雨で増水していて かなりの速さで流れています。ヘラクレスは1人なら難なく渡れるのですが デイアネイラは流れを怖がっています。そこへ現れたケンタウロスのネソスの申し出でを受け 背にデイアネイラを乗せると 川を渡り逃走したので、ヘラクレスはヒュドラの毒矢をネソスに向かって放ちました。ネソスは息も絶え絶えになりながら デイアネイラに「私の血を1滴とっておきなさい。ヘラクレスがあなたを嫌いになったとき もう一度好きにさせるお守りです」といった。
その後 ヘラクレスとデイアネイラは長い間 仲良く暮らしたが、あるとき戦利品としてヘラクレスは美しい少女をもらった。デイアネイラにヤキモチの心が湧き上がった。
ある日 神々に生け贄を捧げるとき 白い着物をデイアネイラの所に取りに行かせた。デイアネイラはお湯を煮立てて あのネソスの血を入れ 白い着物を浸し 乾かして もたせてやりました。ヘラクレスは妙なニオイがすると思いながらも 急いで着てしまい 炎に包まれた気がし、無我夢中で神様の祭壇をひっくり返し そこいら中の大木を根こそぎにした。着物を脱ごうとすると皮膚まで取れてきた。デイアネイラは夢にも思わなかったので自殺してしまいます。ヘラクレスの毒が少し薄れたので 自分の地上の仕事は終わったと悟り、抜いた木を積み上げ 自分を焼くための祭壇をつくり ライオンの毛皮を敷いてその上に横になった。この騒ぎを聞きつけてオイテ山に集まってきたの その中の一番親しいピロクテテスに火をつけてくれるよう頼んだ。オリュンポス山の神々は地上で1番の英雄がこのように死ぬのを惜しみました。
ヘラクレスの父ゼウスは オイテの山上で燃えているのは 地上の母親から受け継いだ体だけだ。私から受けた魂は死ぬことがないとヘラクレスを 女神ヘラと天上に迎えた。

テーセウス
テーセウスはアテナイ王アイゲウスとトロイゼン王の娘アイトラとの子でトロイゼンで生まれました。アイゲウスはアテナイへ帰る前に 将来跡継ぎにすることを約束、自分の剣とサンダルを大きな岩の下に埋め 成長したら身につけてアテナイに来るよう言った。
テーセウスが大きくなると アイトラはあの大きな岩のところに連れて行き 約束を聞かせると 岩を動かし 埋まっていた剣とサンダルを見つけアテナイへ向かった。
彼は トロイゼン王の勧める安全な海路を選ばず、陸伝いに行って ペリペテスという「鉄棒使い」の泥棒を倒し 鉄棒を奪った。次は「松の木まげ」と呼ばれる巨人を鉄棒で倒した。途中村人を苦しめる恐ろしいイノシシを退治。
旅を続けて「スケイロン」という名の泥棒は 旅人を一晩泊まるように勧め足を洗い 海に突き落としていたのをテーセウスは海に突き落とした。また「のばしや」のプロクルステスが旅人を鉄のベットの寝せ ベットの長さに体を伸ばしたり、切り落として殺していました。テーセウスは「のばしや」を同じように はみ出した頭を切り落とした。
テーセウスはアテナイまで悪人を倒しながら旅を続け、着く前に この勇士の名前は広がっていた。アテナイ王のアイゲウスの その時の妃は美しい女魔法使いのメデイア(あのイアソンとアルゴー号の勇士が黄金の毛皮を探しに行った時に 共に来たメデイア)で子が1人いた。メデイアは本当の息子が来れば 自分の立場が悪くなると考え 何も知らない王をそそのかし テーセウスを毒殺することにしました。
アイゲウス王が毒入りのぶどう酒の杯を渡すとき テーセウスの剣を見て 自分の息子だと悟った。ばれるとメデイアは翼の生えたリュウにひかせた戦車に乗り アジアを指して逃げた(後にその地はメデイアと呼ばれる=コルキス国)。
アイゲウスはテーセウスを正式な跡継ぎと決め 国をあげてお祝いをしていたとき、クレタ島から役人が貢ぎ物をとりに来た。クレタ島 ミノスの王子が アテナイで殺された。息子の仇を討つためミノスがアテナイに攻めてきた時 ミノス王に降伏したので 9年ごとに 貴族の家の7人の少年と7人の少女がクレタ島に送られ ミノタウロスの生け贄になっていた。
ミノタウロスは頭が牛で体が人間の怪物で、ミノスが王となるとき 神とのつながりを誇示するために、犠牲の牛を海から出現させてくださいと海神ポセイドンに祈り 白い牡牛を贈られる。 ミノスはこの牡牛を犠牲にするのが惜しくなり 隠してしまう。怒ったポセイドンは罰として ミノスの妃パシパエに呪いをかけた。そのため牡牛に恋したパシパエが生んだのが ミノタウロス。ミノスは、この怪物をダイダロスのつくった迷宮ラビリントスに閉じ込めていた。(現在クリティ(クレタ)島に残る クノッソス遺跡は、複雑な構造を持っているため ラビュリントスとも言われている。)
テーセウスは自ら生け贄に加わることを志願すると テセウスの父アイゲウスは 無事に帰ってくる時は 船の帆に白い布を張るよう言いつけます。
ミノタウロス退治/アリアドネの糸
テーセウス達はクレタ島に黒い布を張った船で送られ 牢に入れられます。ミノス王には アリアドネ、パイドラと2人の娘がいた。 アリアドネはテーセウスに一目惚れして 助けるために 剣と糸の玉を渡した。そしてアリアドネは 入り口糸の端を握っていました。テーセウスは 糸を垂らしながら迷宮ラビュリントスに入り ミノタウロスを倒した後には、その糸を伝って無事に戻ってくることができました。
そして 乗ってきた船で テーセウスと生け贄の若者は乗り込みました。アリアドネを連れてクレタ島を脱出し、途中のナクソス島に寄りました。テーセウスは島で一夜を過ごし ぐっすり寝ていた アリアドネを残して出発してしまった。
置き去りされたアリアドネは ナクソス島の酒神ディオニュソスになぐさめられ 花嫁になった。後に ディオニュソスはオリンポス山にアリアドネを連れて行き 神々の仲間に迎えられた。
テーセウスを乗せた船はアテナイに近づきました。テーセウスは「生きて帰れば、目印に船に白い帆を掲げる」という父アイゲウス王との約束を忘れていました。王は崖の上から船の帆が黒いままなのを見て嘆き、海に身を投げてしまいました。アテナイの人々はテーセウスの帰国をよろこぶ代わりに アイゲウス王の死を嘆き悲しんだ。
【かんむり座】 豊穣とぶどう酒の神ディオニュソス(ローマ神話のバッコス)が,彼の妻となったクレタ島王女アリアドネに贈った冠だとされる。

ダイダロスとイカロス
テーセウス達がミノタウロス退治し 王女を連れ去られたミノス王はひどく怒り ラビリンスを作った ダイダロスを責め、小さな息子のイカロスも一緒にラビリンスに閉じ込めた。
ダイダロスはアテナイ生まれの名高い建築家で ギリシアではじめて神々や人間の彫像を作った人ともいわれている。ダイダロスはアテナイに住んでいたとき 甥のタロスが弟子入りしかわいがっていた。しかしタロスの評判が上がり ダイダロスは負かされていくのを恐れ 崖から落とし殺してしまった。
ダイダロスは死刑になるところクレタ島 ミノス王のもとに のがれて来て お気に入りの建築家になっていた。今度 自分の作った 迷宮ラビュリントスに閉じ込められた。
ダイダロスはイカロスに陸と海は見張られているだろうから 空から逃げようと言って、鳥の羽を集め 糸でとじ ニカワでとめ 大きな翼を作った。2人はラビリンスの向け道から 空高く飛び上がり ずっと飛んで行き、イカロスが高く高く飛びすぎ ニカワが溶けて海に落ちて死んでしまった。
まもなくダイダロスは シチリア島に着いた。イカロスが落ちた海はイカリア海と名付けられた。
オルペウスとエウリュディケ
オルペウスはアポロンの息子で音楽の名手でした。彼の音楽で 狂暴な生き物でさえ、彼の音楽の魔法にかかりおとなしくなりました。谷間に住むニンフのエウリュディケを花嫁にしました。
ある日 エウリュディケが森でコブラを踏んでしまい、ハデス王と后のペルセポネの治めている 地下の死の国へ行ってしまった。
オルペウスは地上を探しても エウリュディケを見つけられず、地下の死の国に降りていって ハデス王の前で たて琴を奏で かなしい歌をうたった。ハデス王も気の毒に思いエウリュディケを連れ帰ることを許したが「守るべき掟があり 途中1度でも 振り向いてはならない」。
オルペウスはたて琴を奏でながら地上へ帰り始めた。地下の暗闇の中をエウリュディケは静かについていきました。オルペウスはもうすぐ出られると思ったとき 不安に駆られ振り返ってしまい、エウリュディケは引き戻されてしまった。
オルペウスはさびしい山で泣きながら日を送った。北風が吹くと7ヶ月の間 人々はむせび泣くようなたて琴の音を聞いた。オルペウスがいなくなり たて琴がヘブルス川を下り海に流れ レスボス島に打ち上げられた。
【こと座】竪琴の名手オルペウス(オルフェウス)とその美しい妻エウリディケの物語
エロスとプシュケ
ある王様に3人の美しい王女がいました。末の王女プシュケは驚くほどの美人で、皆が「まるで美の女神さまのようだ」とほめたたえ あがめました。本物の美の女神アプロディテ(ヴィーナス)が怒り、息子のエロス(クピド/キューピッド)を呼び、プシュケに金の矢を刺して 醜い物乞いの男でも好きになるようにしておくれと命じます。エロスはすぐに地上に降りて プシュケを見て 美しさに驚き あやまって自分の矢で胸を傷つけてしまいました。エロスは プシュケを好きになってしまった。
これより前にプシュケの 姉2人は王女の身分に合う結婚しましたが、プシュケには結婚を申し出る人はいません。父の国王は 「美の女神アプロディテの機嫌を損ねたのかも?」と心配し、女預言者に占ってもらうと「娘に花嫁衣装を着せ 山の頂きにおけ。地上に住む 神も人間も恐れる怪物が連れ去るだろう」とお告げが下りました。両親や周囲の人は驚き、嘆き悲しみましたが 神の告げに背けません。
プシュケは花嫁衣装を着せられ 家来にに山まで連れて行かれ、家来はたいまつを消し下山した。プシュケが泣いていると、羽ばたきが聞こえ ゼフュロス(ゼピュロス 西風の神)が彼女を抱き上げ美しい谷間に降ろした。谷間は気持ちよく プシュケは寝てしまい 気づくとすばらしい宮殿の前にいました。恐る恐る 御殿の中に入ると いくつも部屋があり どれも立派でした。ある部屋には一派なテーブルがあって ごちそうが用意してあった。恐る恐る食べてみると 見えない召使いたちが、給仕してくれ どこからともなく心地よい音楽が聞こえます。
夜になると 翼の羽ばたく音が聞こえ 気持ちのいい声が聞こえてきた。
「美しいブシュケ、おまえがここに住んで 私の妻になるのを承知してくれれば ここにあるものは全ておまえのものだ。目に見えない召使いは おまえの言いつけに従う。私は夜になると会いに来るが 夜明け前にまた飛んでいかなければいけない。私の顔を見たいとか 誰か知りたいと言わないでくれ」
これを聞いて プシュケは、当分八つ裂きにならないだろうが、この声の主が怪物ではないとは信じ切れませんでした。
ある日 置き去りにされた 岩の近くで 姉たちがプシュケの名を呼び泣いていました。プシュケは、優しい声の主に 1度だけ姉に合わせてくださいと頼んだ。すると姉たちも西風に運ばれ プシュケの御殿にやってきて 妹が生きていたのを知るとよろこんだが 、御殿の立派さに妬み心が起き、持ち主について根掘り葉掘り聞いてきたので 西風は姉たちを帰した。
しばらくすると プシュケは寂しくなって また姉たちに会いたくなって 夫に頼むと 西風が連れてきてくれた。姉たちは妹が幸せそうなのが気に入らず さらに妹を問い詰めると プシュケが夫の姿を一度も見ていないことがわかります。「あんたはだまされている。声の主は恐ろしい怪物よ。今夜 明かりをつけ夫が寝たら 顔を確認しなさい。もし怪物だったら このナイフで刺し殺しておやり」と言って 西風に連れられ帰った。
プシュケはそんなことはしたくないと思いながらも 夫の顔を見てみたいと思い 夫が眠りに落ちたあと、ランプで顔を照らすと、おそろしい怪物では ありませんでした。それは、世にも美しい神の顔で 額には黄金の巻毛がふさふさ垂れかかり、雪のように白い翼がたたまれていました。そして弓矢が置いてありました。プシュケは、思わずナイフをを落とし 弓矢をみていたら 金の弓矢でチクリと指をさしてしまった。はじめてエロスを好きになり もっとよく顔を見ようと、プシュケが近づいたら、ランプから 熱い油がエロスの肩に落ちました。エロスが目を開け とがめるように プシュケの姿を見ると 何も言わず 翼を拡げ飛んでいってしまいました。
御殿が消え プシュケは そのあとに立っていた。そしてエロスを探しに長い旅に出ました。
美の神アプロディテの怒りを恐れ 誰も助けてくれません。デメテールが「アプロディテの言いつけに背いてまで おまえを愛したエロスを傷つけたんだから アプロディテに心からわびなさい」と教えてくれた。
プシュケは、アプロディテの御殿を訪ね謝りますが、アプロディテは許してくれず 罰として難しい仕事を与えた。それは ハトやツバメの食べる穀物の山を指し 1つぶ1つぶより分け コムギ・オオキビ・キビ それぞれの山を今日の日暮れまでに作ることでした。プシュケはうなだれていると エロスはアリを1匹呼び寄せ「アリのかしらよ、私の妻の仕事助けてくれ」と頼みました。アリは一大隊の友達を呼んでせっせと穀物を運んでくれました。
日が暮れ アプロディテが来てみると 全て より分けられていました。
翌朝 アプロディテがプシュケを大きな川の土手に連れて行って 「向こう岸の森にいる金色の羊の毛を集めておいで」と言って帰って行った。プシュケが川を渡ろうとすると川の神に「今はおよし。羊たちは 日がカンカン照っている間は気が荒い。 夕暮れ時私の子守歌で寝付くので その時向こう岸のヤブの枝に巻き付いてくる金色の毛をとってくればいい」と教えられプシュケは、両腕いっぱい金色の毛をとってきました。
アプロディテはもっと腹を立てて スイショウのビンを持って物忘れの泉から水を汲んでくるよう命じた。この泉は誰も登ることのできない高い山の頂にあって氷のような冷たい水が谷間に流れ落ちていました。流れの両側に恐ろしいリュウが住んでいた。プシュケが動けずにいると、エロスに親切にしてもらっていた ゼウスのワシが スイショウのビンを持って物忘れの泉から水を汲んで来てくれました。
アプロディテは相変わらず腹を立てていて「おまえは魔女だ。こんなことできるはずがない。もう1つ 地下の死の国の女王ペルセポネの所に行って この箱に美しさをわけてもらっておいで」といいます。
プシュケは、絶望して高い塔に登って身を投げようとすると 塔の石達が 冥界に行く道 番犬の追っ払い方 渡し守カロンとの交渉の仕方も教えてくれ、最後に「ペルセポネが箱に美しさを入れてくれたら 決してその箱をのぞいてはいけないよ」と忠告してくれた。
プシュケは教えられたとおりに 美しさをもらい もとの世界に戻ってきました。忠告を忘れ プシュケが 箱をあけると、死んだように眠ってしまいました。エロスが彼女を見つけ 死の国の眠りを集め箱にしまい、ゆり起こして 「母に箱を届け 命じられたことを完了させなさい。あとは私にまかせてくれ」 と言うと、オリンポス山にいるゼウスのもとへ行き 今までのことを話し プシュケと結婚させてほしいと頼みました。
ゼウスはヘルメスを使いに出し プシュケをオリンポス山に連れてこさせ 金のさかずきを与えた。
プシュケは金のさかずきから 神々の飲み物を飲み干すと、肩からチョウの羽根のような翼が生えてきて 人間から女神になった。アポロンは エロスとプシュケの結婚を祝い たて琴に合わせて歌った。アプロディテもプシュケをすっかり赦し 神々の前で踊った。
※「美女と野獣」元ネタだそうです。
【魚座】愛と美の女神ビーナスと息子キューピットが怪物(テュポン)から逃げるため2匹の魚になり、はぐれないよう互いの尾を結んでいる。
【矢座】エロスは人間の王女プシュケに矢を放つつもりが、あまりにも美しく誤って自分に矢をさしてしまい、自らプシュケに恋をしてしまった。
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神々 | 地図 |
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ミュケナイ王 エウリュステウスがヘラクレスに命じる | ネメアのライオン退治 |
〃 | レルネのヒュドラ退治 アミュモネの泉 |
〃 | アルカディア エリュマントス山のイノシシ捕獲 |
〃 | ステュムパロス山の悪い鳥を追い払う |
〃 | エリス(イリア)アウゲイアス王の牛小屋掃除 |
〃 | クレタ(クリティ)島 ミノス王のオウシ 捕獲 |
〃 | トラキアのディオメデス王の人食い馬 捕獲 |
〃 | アマゾンの女王ヒッポリュテの帯 コーカサス山脈 |
〃 | ゲリュオネスの赤い牛 ジブラルタル海峡作る |
ヘラクレス 自由になって花嫁のデイアネイラと | 生地ティリュンスへ。オイテ山で最後迎える |
テーセウス | 生地 トロイゼン(Troizinia-Methana) |
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