GoogleマップでWeb旅行!ヘラクレス塔・バンシュの祭・レンネルの薬・エオリエ温泉・イラン絨毯

NHK BSP 「世界遺産 時を刻む」を見ました。スペイン ヘラクレスの・ベルギー バンシュのカーニバル・東レンネルの・エオリエ諸島の温泉・イランの絨毯
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世界遺産 時を刻む 「塔~天空に描く伝説」ヘラクレスの塔

NHK BSP 初回放送2011年10月
ヘラクレスの塔
スペイン北西部 ア・コルーニャの街に、古代ローマ時代 プリタニア(イギリスに)にいく 船のために 灯台として建てられ、2000年以上経た 現在も機能している。当初は43mの高さで、大航海時代に遠洋航海に向かう船の寄港地となり ヘラクレスの塔は修復された。今も灯台守が2人交代で自動化された灯台を守る。レンズ磨きだけは塔に登り行っている。
ア・コルーニャは25万人の漁業と観光の街で ピカソが少年時代過ごした家がある。

神に近づきたいと高い建物を建てた。 旧約聖書で「バベルの塔」を作るとき、初めは同じ言葉を話していた。日に日に高くなる塔に神は怒り お互いに言葉を通じないようにしたので、バベルの塔は頓挫した。

エジプトギザのピラミット群は古代最も高かった構造物で、最大のクフ王のピラミット(高さ146.6m)。19世紀まで世界一だった。

メソポタミア(現 イラク) ウルのジッグラト(エ・テメン・ニグル)(当時 高さ60m) は箱形の神殿 巨大な階段型のピラミッドだった。

アレキサンドリアの大灯台(カーイト・ベイの要塞)(推定 高さ134m)は、紀元前3世紀頃、エジプトのアレクサンドリアのファロス島に建てられた灯台で、8世紀と14世紀に起きた3回の地震で完全に崩れてしまった。

インド サーンチーの仏教建造物群(高さ16m) 仏陀の遺骨を収めるため ストゥーパ(仏舎利を安置する仏塔)を建設した。紀元前3世紀から12世紀にかけて建設された仏教遺跡です。インド最古の王朝「マウリヤ王朝」の3代目国王「アショーカ王」は約8万4,000件のストゥーパを建設した。

日本 法隆寺の五重の塔(高さ31.5m) インドの「ストゥーパ」の様式をそのまま模して建てられた。

エジプトの首都カイロは、1979年に「イスラーム都市カイロ」として世界遺産に登録された後、2007年に「カイロ歴史地区」に名称が変更された。イスラム地区である旧市街と、カイロ発祥の地であるオールド・カイロが含まれています。600を超えるモスクや、1000以上のミナレット(イスラムの祈りの時を知らせるために作られた時計塔)がある。

イラク サマラ都市遺跡(サーマッラー)にある らせん状のミナレット(高さ55m)が そびえる様子は バベルの塔 そのものです。

中世ヨーロッパの教会が高さを競いあった。

フランス パリの中心部を流れるセーヌ川の中州であるシテ島南東にそびえるノートルダム大聖堂(当初 高さ32.8m)。フランスの世界遺産「パリのセーヌ河岸」に含まれている。

・同じ頃建てられた イタリアの 世界遺産「ピサのドゥオモ広場」の鐘楼 ピサの斜塔は (高さ55m)です。

ドイツケルン大聖堂(高さ157m)は一気に高くなりました。600年の歳月をかけ完成しました。高い建物は権威をアッピールする絶好のものと考えられた。

高さ競争の主役が貴族に

イタリア サン・ジミニャーノ歴史地区 中世イタリアの塔の街 高い塔を建て力を誇示します。正塔の中身は空洞で70本の以上の塔が町を埋めました。その競争があまりにも激化したため、町はポポロ宮に高さ54mのグロッサの塔を建て、これより高い塔の建設を禁じました。

イスラエル マサダ 標高400mの岩山にある 難攻不落の砦。ユダヤの人々にとって一生に一度は訪れたいと願う大切な場所となっています。紀元前120年、ローマ人1万人 対してユダヤ人1000人あまり 砦に立てこもり3年持ちこたえた。

・生き抜くために必要な高さ、イエメン シバーム 「砂漠のマンハッタン」といわれ 30m前後の高層建物が500以上立ち並ぶ。家畜や財産をを守るため 上に上に伸びた。壊れたら 泥に草を混ぜ修復を2000年繰り返してきた。

・世俗を逃れる高さ メテオラギリシャ北西部のテッサリア地方にあり、高さ600mの奇岩群とその上に建つメテオラ修道院群の総称です。14世紀初めギリシア正教の修道士が イスラム勢力から逃れ ここに住み着き 下界と隔絶した修行の場になった。階段ができたのは20世紀になってから、それまで 600年は網袋に入って 30分かけ引き上げていた。

高くそびえる建物は神への憧れ・権力の象徴から市民のためのランドマークに変わる。
ヨーロッパでは繁栄の証として 鐘塔や時計塔が次々に建てられた。

世界遺産の世界一高い構造物、フランス セーヌ河岸 エッフェル塔(高さ324m) 鉄骨を組み合わせただけの塔に毎年 600万人が訪れる。

Photo by Jad Limcaco on Unsplash

世界遺産 時を刻む 選「祭~夢をつなぐ仮面~」

NHK BSP 初回放送2011年10月
ベルギー バンシュのカーニバルは、同じ仮面をかぶった大勢の男たちが長時間 踊り続ける 不思議なお祭り。3万人の街に30万人が集う。このお祭りは2003年にユネスコ無形文化遺産に登録されています。
バンシュの名産は世界コンクールで金賞をとった地ビールと、200本以上の糸を操るレース細工

カーニバル」はラテン語で「肉よさらば」という意味で、カトリックには40日間の肉を断つので その前のお祭り。2011年 は3/6(日)から3/8(火)までの3日間
カーニバルの主役「ジル」はお祭り男を意味し、最終日に 朝5時から 夜9時まで16時間踊り続ける。年収の9割もお祭りに使う人もいる。

おそろい
巨大な帽子…ダチョウの羽350枚使い4kgあり、金の麦の穂がついている。
メガネとヒゲの仮面 …長く続いている専門店で管理してくれ 帽子(4800ユーロ 約52万円)・ベルトやレースをあしらった服(2000ユーロ 約20万円 レンタルで800ユーロ) 惜しげもなく市民は自腹を切る。
木の靴… 名物のおばあちゃんが45年作り続けている。いくら歩いても痛くならない。石畳を歩いて楽器の役目

仮面は 36年作り続けている職人が 特製の顔型をつくり、顔を描き 蠟でコーティング、ヒゲは金持ちメガネは知識人を現す

世界のお祭りを調べ 起源を調べていた人がいて バンシュ仮面博物館に資料が残っている。
仮面の祭が登場した1394年当時黒死病(ペスト)で欧州の1/3の人が死に、その原因として衣類に付く蚤が感染源といわれて、街を支える織物業が大打撃を受け、王侯貴族は街を去り、貧しい職人だけが残された。去っていった支配階級に成り代わり、街を復活させるということで、この仮面が生まれ カーニヴァルが始まった。その後大国が侵入しても 支配者が変わってもカーニバルは行われた。
ナチスと戦い捕虜になっても 収容所の中でも行った。

ジル参加できるのはバンシュ生まれか 10年以上暮らした男で 家族がジルであること 健康で16時間歩き続けられること。
50年参加しているご主人、30年の長男、25年の次男 孫2人の一家5人で参加予定。「シャンペンカーニバル」と呼ばれるほど シャンペンしか飲めないので 1軒で50本準備。実に400万近い 金額です。

前夜は前祝い「家族とこどもの日」で思い思いの仮装で変身を楽しむ。

当日は 女達の手で早朝から 体にわらを詰め いかにも豊かなように体膨らます。父親は体調不良で参加できなかった。着替え 到着した音楽隊と出発。冬に打ち勝つよう柳の枝を手に持ち 仲間の家に、シャンペンを抜き、7時には贅沢な生カキで朝食、子供も合流し 大通りに集まる。広場に近づくと 一斉に仮面をつけ、同じ顔をした800人が太鼓に合わせ 足を踏みならし行進続ける。
午後はお面を外し 春のシンボルのオレンジを投げる。オレンジを手にした人には幸がもたらされるという言い伝えがあります。補給するのは女性の家族達でした。
あくまでも市民だけで行い 当日上がった花火も 交通整理の費用も分担、翌日には来年に向けスタートです。

イタリア ベネチアのカーニバル …貴族の密かな楽しみで、豪華な衣装と仮面を身につけることで素性を隠して交流する祭典で、人々は窮屈な日常からの開放感を味わいました。

アフリカ マリ 世界遺産 バンディアガラの断崖(ファレーズ・ド・バンディアガラ)…ドゴン人の祭り 動物や多の民族を現した仮面。死者を弔い 現世と来世をつなぐ
ニジェール川側は標高を500mほどの断崖となっており、この台地上や断崖にへばり付くように、ドゴン族の集落が点在している。1300年頃に住み着き、奴隷狩りから逃れるための要寒として、また、その後のイスラム化や戦禍を避けるために定着したといわれる。

日本 秋田 男鹿 「男鹿のナマハゲ」ナマハゲは怠け心を戒め、家の厄を祓い、無病息災・田畑の実り・山の幸・海の幸をもたらす来訪神です。冬に囲炉裏に長くあたっていると手足にできる火斑を方言で「ナモミ」といい、怠け心を戒めるため、ナモミを剥ぐナモミハギが語源と言われています。
男鹿半島の大晦日の晩、各集落に、鬼の面をつけ、ケデなどと呼ばれるワラのミノをまとった「なまはげ」に扮した青年たちがやってきます。2018年に男鹿のナマハゲなど全国8県10行事は「来訪神:仮面・仮装の神々」としてユネスコ無形文化遺産に登録されました。

・日本 鹿児島 悪石島 お盆 「悪石島のボゼ」として2018年、ユネスコの無形文化遺産に登録されました。大きな耳と目と口、長い鼻を携えた珍妙な仮面を被り、ビロウの葉で身体を覆った南方系の出で立ちのボゼに3人の若者が扮し、赤土をつけたボゼマラとよばれる長い棒で女性や子供を追いかけ回します。この土を付けられると御利益があるとされる。

キューバ 第2の都市 サンティアーゴ・デ・クーバのカーニバル 19世紀以降 フランス人が経営するコウヒー農場で働く奴隷に 収穫祭の時 お下がりのドレスを与え一緒に踊ることを許した。主人達はアフリカの太鼓を加えたリズムのとりこになり 共に楽しんだ。

スリランカ 聖都 キャンディー 仏歯寺 王や貴族しか拝めなかった 仏陀の歯が街に出る 「ペラヘラ祭」像の背中に乗る 仏の歯を 民衆はきらびやかな衣装を身にまとい踊る

ペルー クスコ は16世紀スペインに滅ぼされた インカ帝国の都で、インティライミ祭太陽の祭り)が 毎年6月24日の冬至の日に開催され、多く人々が集まります。最高神の太陽インティと大地の神パチャママに、1年間の収穫を感謝し、次の年の豊作を願う儀式として行われています。サクサイワマン遺跡へと移動していきます。色とりどりの民族衣装をまとった人々が音楽と踊りを披露します。

時を刻む「薬~植物に宿る力を探して~」

NHK BSP 初回放送2012年1月
南太平洋に浮かぶソロモン諸島。南端にあるレンネル島は珊瑚礁が隆起してできた島としては世界最大の大きさ。世界自然遺産 「東レンネル」には8割を占める 汽水湖 テンガーノ湖です。湖には200以上の小さい島々がある。周辺には4つの村があり 約1000人が暮らし 固有の動植物が数多く見られる。
島の住人は 2つの樹皮を煎じて高血圧に飲んだり、つる草の絞った液を傷に塗っていた。
新薬につながる植物を求めて、日本の高知工科大学 渡邊高志教授島の伝承医が協力して進められる調査。産業がなく農作物の不作が続く島民も大きな期待を寄せている。

世界遺産 イギリス キュー王立植物園
約120ヘクタールもあるこの植物園には、250年に及ぶ歴史があり、3万8000種類以上もの植物が集められている。プラントハンターを世界に派遣して各地から植物を集め、それらの園芸・庭園植物、食料、薬用、生活資材としての活用を試みた。
南米からゴムノキやマラリヤの特効薬キニーネの取れるキナノキなどがキューガーデンに持ち込まれ、増殖して植民地であったセイロンやマレー半島で運ばれてプランテーションとして栽培され、イギリスに莫大な利益をもたらした。

世界遺産 リビア キュレネ遺跡
キュレネは古代ギリシャ人が 紀元前7世紀に作った。紀元前5世紀にはアテネに次ぐ大都会になりました。 その発展の源がシルピオンと言う薬草で、貴重な万能薬でその交易で巨万の富を得ました。 しかしその後乱獲でシルピオンは絶滅、キュレネは衰退して行き、7世紀にはアラブ人の攻撃で壊滅。

時を刻む 「温泉~火山の大いなる力~」

NHK BSP 初回放送2011年12月
地中海。シチリア島の北に 70万年以上前 海底火山が噴火した7つの島からなるエオリエ諸島。それぞれの島は 海底からそびえる火山の先端部分にあたる。地球の成り立ちを知る貴重な島として エオリエ諸島は自然遺産となりました。
ヴルカーノ島
7つの諸島のうち、シチリア島に最も近い場所に位置する。ギリシャ・ローマ神話では鍛冶をつかさどる神がヴルカーノ島に住むと言われた。
海岸沿いにある泥温泉 硫黄の臭いはかなりきついのですが、入ればお肌がつるつるになります。さらに、関節痛などにも効くそうで ヨーロッパ中から多くの人が訪れる。
蒸気温泉、目の前の海水温泉も楽しめる。温泉エステなどリゾート施設がある。
リパリ島
エオリエ諸島最大の島で9000人暮らす。火山と人との歴史を知ることのできるエオリエ考古学博物館があります。4000年前からの 石造りの蒸し風呂の遺跡やローマ人の作った温泉遺跡がある。
ストロンボリ島:
今も世界有数の活発な火山で、2500年近くにわたって溶岩を吐き出し続けている。20世紀に大噴火があり 今は僅かの人しか住んでいない。火山による観光で生活している。夜の火山ツアーもある。

ここで採れる黒曜石は 古代 ナイフや矢じりとして 交易が盛んに行われました。軽石をローマ人は水の濾過、石けん・化粧品に使った。
ローマの遺跡、アーチ型天井に軽石が使われ、火山灰はコンクリートの原料になった。
飲料水は雨水に頼ってきて、水道は35年前から 船で本土から運んでくるようになった。建物は凝灰岩の厚い壁で夏涼しく、冬暖かく、火山の被害防ぐ。
農作物は 雨量が少ないので ぶどう・オリーブ・ハーブが栽培される。
芸術に島で イングリッド・バーグマン主演の 「ストロンボリ」映画でも有名。

温泉の世界遺産

・世界遺産 「ローマ歴史地区」 イタリア
複合温泉施設 「カラカラ浴場」は ローマ帝国第22代皇帝カラカラ帝が 市民の反乱を抑えるために作り1600人を収容できた。皇帝も風呂に入ったといわれる。

・世界遺産 「ヒエラポリス-パムッカレ」 トルコ
雪のように白い棚田の奇観は、古くから綿の名産地だったことからパムッカレ(綿の城)と呼ばれます。炭酸カルシウムを含んだ温泉が山肌を流れ落ち、長い年月をかけて沈積してできた100以上もの石灰棚が出来た。紀元前の時代から療養地として栄えてきたこの地は、パムッカレが表現する大自然の美しさと、台地の上にあるローマ遺跡ヒエラポリスが見せる廃墟の美しさが組み合わさった世界遺産として、複合遺産に指定されている。

・世界遺産 「バース市街」 イギリス
イギリス唯一の天然温泉が湧き出る、バース。1世紀には、この地を支配したローマ人が、巨大な温泉施設と神殿を建設しました。スチーム風呂やマッサージ室、水風呂なども備えた豪華な温泉施設には、ヨーロッパ中から人々が訪れた。

・世界遺産 「ブダペスト:ドナウ河岸とブダ城地区、アンドラーシ通り」 ハンガリー
「ドナウの真珠」と称えられる景観、ゲッレールト温泉がある。

・世界遺産「マチュピチュ」 ペルー
インカ帝国の空中都市にも 温泉がある。ふもとの マチュピチュ村、以前の名称アグアス・カリエンテスは〝熱い水〟を意味し温泉です。
ペルー北部の街 カハマルカ。ここにはインカ帝国最後の皇帝アタワルパがスペイン人の手に落ちる直前に利用していたという名湯があります。

・世界遺産「カサス・グランデスのパキメ遺跡地帯」 メキシコ
カサス・グランデスはメキシコのアメリカとの国境近くの砂漠地帯で、14世紀頃に最盛期を迎えたとされるパキメ遺跡は 北と南の先住民たちが交流し合った商業都市として大いに栄えました。その住宅には水道設備が完備しており 離れた温泉から各家に水路が引かれてセントラル・ヒーティングの設備もあったと思われます。

・世界遺産「トンガリロ国立公園」 ニュージーランド
今も活発に活動を続け、噴火口や溶岩流跡など火山特有の荒涼とした風景が広がり、エメラルド色に輝く火口湖が点在。お湯の温度が90度もあり 先住民マオリ族の人達は湯につけ料理している。

時を刻む 選「イラン じゅうたんに描く遊牧民の夢 文様」

NHK BSP 初回放送2012年12月
イラン南部の山岳地帯に生きる 遊牧民 カシュガイ の女性達が 暮らしの中で作る「羊毛のじゅうたん 」は2010年に無形文化遺産「ファールス州のじゅうたん織り伝統技術」になっている。

イランの首都 テヘランから 南に700キロ ファールス州の古都 シーラーズ
世界遺産「エラム庭園」18世紀に作られた 水と緑のあふれる 美しいペルシャ庭園。
「ハーフェズ廟」イランの最も有名な詩人ハーフェズの霊廟。美しいパビリオンとメモリアル ホールがある。シーラーズは多くの文人・詩人を輩出している。

シーラーズから山道を3時間ほど走り 標高2500mほどの山あいにある 遊牧民の夏の宿営地 サルタング村に着いた。冬の間ペルシャ湾近くの海岸線で暮らし 夏になると 涼しさと牧草を求め 山岳地帯に200キロ以上移動してくる。
標高が高いため日差しは強く ほとんど雨は降りません。草や灌木が点在するだけの過酷な大地です。
ここで暮らす 6人家族のデフガニーさん一家です。夕食を作っているのが14歳の4女 ズィーナットさん。4月下旬 50頭の羊と共に移動してきました。
カシュガイの女性にとって最も大事な仕事は じゅうたん織りです。遊牧民にとって じゅうたんは生活の必需品です。羊の毛を手で紡ぎ、糸を草木で染めて、手作業で織り上げます
カシュガイのじゅうたんは「ギャッベ GABBEH」と呼ばれ 洗練されたペルシャじゅうたんと違い 長い毛足と柔らかな手触りが特徴で、のどかな遊牧生活が素朴な文様として描かれています。
カシュガイの暮らしは 衣食住すべて羊と共にあります。羊の毛でじゅうたんを織り 乳を搾りミルクやヨーグルトにマシュクという金属製の道具で加工します。そして肉も食べる。
住まいは風通しの良いワンルームで じゅうたんの上が居間で 夜は寝室にもなる。家の奥にかけてある装飾用の手作りじゅうたん、下に来客用の布団や家財道具があり、じゅうたんで作った収納ケースや、ロバやラクダ用の鞍袋もあります。黒いテントもじゅうたんの一種。
カシュガイの女性は小さいころから じゅうたんを織りはじめ、ズィーナットさんはこの夏から本格的に19歳の姉の手ほどきで始めました。2人は明るい屋外で 地面に水平に置いた織機に縦糸を張り そこに様々な色糸を織り込みます。トルコ織りといわれる折り方で 縦糸2本に糸を絡めるので丈夫なじゅうたんになります。2人が織ろうとしているのは 幅1m 長さ1.5mのギャッベ、1日数センチ織り進むのがやっとという根気のいる仕事で横に1列織ったら交互にした縦糸に横糸を通しますが、とても力のいる仕事で そのあと織り目をたたき締めます。櫛で毛並みをそろえ長めに切りそろえます。織り糸の色を変え文様を描きます。色やデザインは決まっていず 自由な文様にしていきます。
台所でも 朝食用のナンをこねるのも ラクダの毛を混ぜたじゅうたんの上です。
女性達は水くみも大事な役割でズィーナットさんは300m離れたリンゴ農家のため池から 何度も台車で水を運びます。
近くの 泉の水が涸れてしまっていました。ギャッベには巨木やザクロの願いの込められた文様がある。
男達は羊を放牧し 銃で狼から守ります。ライオンの文様は 強さと勇敢さ そして 深い知恵の象徴で男達の理想の姿が描かれている。

近くの村の少年が 親戚の結婚式の招待状を持ってきてくれた。

親戚の住む サルタング村には 20世帯120人ほどが家を構えている。イランでは遊牧民の9割が定住して村で暮らす。結婚するバハラさんは19歳で、5才の時に村に定住し 家族とレンガ作りの家に暮らしています。家には水道が引かれ 電気もプロパンガスもあります。カシュガイでは家財道具は花嫁側が用意するのが慣わしです。まだ自由恋愛は一般的でなく 男性が花嫁の父に結婚を申し込みます。
花婿は昔から知っている人で ハンサムで彼だったりいいなーと思っていたそうです。
家の裏にあるくるみ林でバハラさんは 昼の多くの時間 じゅうたんを織っています。ギャッベを織りそれを売って家計を補うことが 定住した女性達の役割です。今織っているのは嫁入り道具で これを夫のテントに持っていくのが伝統で、それはお嫁さんの能力を測る基準にもなるそうです。だからこそ 幼いうちから じゅうたん織りの技術を磨いてきた。
実はバハラさんの結婚相手は 今も遊牧を続ける男性で、父は便利な定住生活しか知らない娘を心配しています。
ズィーナットさんは母と ピドム というミントの1種で 何でも効いて おいしく食べられる薬草を採っています。母達は 厳しい遊牧生活を生き抜く知恵を日々伝えていきます。じゅうたん織りも 暇があれば きて 共に仕事をして教えていきます。

テヘランでは ペルシャ手織り絨毯展示会が開かれていた。数百万円もする シルクの超高級じゅうたんもみられました。 あのギャッベの展示もあり 値段はペルシャじゅうたんの半分ほど、欧米や日本で需要が高まってきている。素朴さがストレスを癒やしてくれ人気だそうです。
じゅうたん商がギャッベを買い付けにきました。値段はじゅうたんの大きさ デザイン 色合いで決まります。目が詰まっているほど丈夫で 高値で取り引きされます。
値段の相場は幅1m長さ2mで およそ6000円、月々の家計の半分が賄えるそうです。値段交渉する女性も。この買い付け人は約1万人の女性と契約し、手間のかかる糸の草木染を自社工場で行い 織ってもらい工賃を支払っています。

自然染料の材料は?
ピスタチオの畑 ローナスという西洋アカネの根から 変色しない 赤色。
子孫繁栄の象徴 ザクロ の赤い皮を乾燥させると 黄色が生まれる。
ジャシールという岩場に生える草から艶のある緑になる。

バハラさんの結婚式 遊牧生活で緑が絶えないようと願いを込めた 世界で1枚だけのじゅうたんが完成。当日 緑のじゅうたんの上で父に感謝を表します。父はこれからの放牧生活を想い不安で泣き出してしまった。カシュガイのしきたりで コーランを頭の上に掲げ車に乗り 結婚式にしきたりで参加できない父親に別れを告げ 3キロ先の大地の結婚式の会場へ。500人が集まり結婚パーテーはカシュガイ伝統の歌や踊りが続きます。
9月末 遊牧民が山を降りる季節になりました。ズィーナットさんはじゅうたんを織り続けています。デフガニーさん一家は テントをたたみ トラックに積みました。

ライオンが登場する世界遺産

百獣の王 ライオンは権力や信仰の強さを現すシンボルでした。
世界遺産「ペルセポリス」 イラン
古代ペルシャではライオンは太陽の化身として崇められていた。さらにライオンを倒す王の姿も描かれています。
・世界遺産「古代都市シーギリア」スリランカ
ジャングルにそびえる岩山に残された宮殿の遺跡。入り口にあるのは人の何倍もあるライオンの足。かつては壁を覆うようにライオンの頭もありました。スリランカではライオンは気高さや偉大さを現す。そのライオンより上に宮殿を築き 王は偉大さを誇示しようとした。
・世界遺産「ベネチアとその潟」イタリア
サンマルコ大聖堂には金オライオンが描かれています。翼を持つライオンはベネチアの町の紋章。キリスト教の福音書を書いた聖人マルコのシンボルと言われる。マルコはベネチアの守り神。

命の色を語りかける世界遺産

・世界遺産「サマルカンド文化交差路」ウズベキスタン
鮮やかな青のタイルはサマルカンドブルーと呼ばれ」鉱石・コバルトから生まれた。
イスラム教では青は 清らかさや魔除けの意味を持つといわれる。
アラベスク文様は偶像崇拝が禁止されたイスラムで 聖なる世界を作りだしてきた。
・世界遺産「アルハンブラ宮殿」スペイン
かつて支配したイスラム王朝の宮殿です。壁を覆い尽くすアラビア文字の周りに植物や幾何模様のレリーフが無限に続く。当時 イスラム教徒達は天文学や幾何学を研究し 宇宙の真理を読み解こうとしていた。同じ模様が細かく繰り返される アラベスクは何層にもつなる宇宙を表現している。
・世界遺産「プエプラ歴史地区」メキシコ
16世紀にスペインから移り住んだイスラム教徒が作った。いたるところに美しいタイルが貼られている。この土地で採れた豊富な鉱石を釉薬にして焼き上げたタイルは鮮やかな 赤・青・黄色など色とりどり、描いたのは花、遠く離れたスペインを懐かしんだ。

時を刻む 「銀」・「大彫刻」・「堤」・「庭」・「祈り」

時を刻む「銀~シルバーラッシュの光と影~」 メキシコ

時を刻む 「大彫刻 石に魂を込める・中国 大足石刻

時を刻む「堤~水を包み水と生きる」オランダ アムステルダム

時を刻む「庭~楽園のつくり方~」18世紀に建てられた ナポリ カゼルタ宮殿